ピアノとジャンルを超えたコラボレーション研究発表会《受賞者演奏会》

日時2026年3月17日(火) 17:30開場 / 18:00開演
会場カワイ表参道2F コンサートサロン「パウゼ」

ご挨拶

当財団の実施している研究助成「音楽振興部門(コラボ分野)」は、ピアノと伝統邦楽器及び民族楽器のコラボである点で他に例を見ない独自の取り組みです。
この取り組みによってピアノという楽器の新たな表現領域の拡大とともに、伝統邦楽器や民族楽器の現代的な意義と可能性を開拓したいと考えております。ピアノと伝統邦楽がコラボすることによって楽器の新たな生命が培われることを期待しております。
本日のこの演奏会でピアノと筝曲の意欲的な新しい作品を世に発表できることを私どももとてもうれしく思っております。

研究助成 音楽振興部門 審査委員長 西原 稔

プログラム

18:00~審査委員長ご挨拶 西原 稔(桐朋学園大学名誉教授)
表彰式
18:05~

演奏 グループ「和洋響」

  1. 箏協奏曲第二番(唯是震一 作曲)
  2. 和洋響(松岡杏奈 作曲)
  3. 箏とピアノのための二重奏第一番《スケルツォ》(奥田雅楽之一 作曲)
  4. 箏とピアノのための二重奏第二番《変奏曲》(奥田雅楽之一 作曲)
18:50~理事長ご挨拶 渡邊 健二 (東京藝術大学名誉教授)
主催
一般財団法人 カワイサウンド技術・音楽振興財団

グループ「和洋響」

「和洋響(わようきょう)」は、和楽器である箏と洋楽器であるピアノの関係を象徴する題名である。 「和」は箏、「洋」はピアノを示し、「響」は両者が単に融合するのではなく、それぞれの個性を保ちながら互いに響き合うことを意味している。

奥田雅楽之一おくだうたのいち(Koto)

本名奥田智之。1979年東京生まれ。生田流箏曲家、地歌三弦演奏家、作曲家。正派初代家元・中島雅楽之都の曽孫にあたり、生田流正派の伝統を継ぐ。幼少より正派二代目家元の祖母・中島靖子に箏を、作曲家で箏曲家の祖父・唯是震一に三弦を師事。正派発祥の地である善光寺大本願にて雅号「雅楽之一」を授かる。舞踊音楽や歌舞伎音楽などの分野で作曲活動を展開し、国内外で演奏活動を行う。2019年正派邦楽会副家元に就任し、自身のリサイタルと位置付ける「奥田雅楽之一演奏会」を開始。自作品は多様な編成で作曲され、国立能楽堂、歌舞伎座、NHKホールなど国内主要ホールで上演されている。

松岡杏奈まつおかあんな(Piano)

東京生まれ。2歳半よりピアノ、4歳より作曲を始める。国立音楽大学附属小・中学校、桐朋学園高等学校音楽科を経て桐朋学園大学音楽学部ピアノ科卒業。同大学院研究科を修了後渡米し、ジュリアード音楽院でクラシックを学ぶとともにジャズピアノを本格的に始める。奨学金を得てニュースクール大学ジャズ&コンテンポラリー科に入学し、名誉賞および首席で卒業。国内外のコンクールで多数受賞し、2020年には若手ジャズミュージシャンの登竜門「ちぐさ賞」にてグランプリを受賞。現在は東京を拠点に幅広い演奏活動を行っている。


曲目解説

箏協奏曲第二番

唯是震一 作曲

1957年に独奏箏と箏群のために作曲された作品で、箏の伝統的な音階である都節音階を用いて全編が書かれている。1979年には管弦楽伴奏を伴う協奏曲として改作され、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、ティンパニと弦楽を加えた編成により、箏の独奏とオーケストラが対話する構成となった。作品は三楽章から成り、第1楽章は主題の提示と応答による展開、第2楽章は弦楽を背景とした抒情的な歌、第3楽章はロンド形式による華やかな終結を特徴とする。なお、伴奏群をピアノに編曲した今回の版は、原曲の管弦楽部分を忠実にピアノへ置き換えたもので、小編成で演奏可能な形として新たな需要を生み、現在もたびたび再演されている。

和洋響

松岡杏奈 作曲

和楽器と洋楽器が互いに鳴り響き、次第に混ざり合っていく過程を経て、最終的にオーケストレーションのような壮大な響きを創り出すことを狙いとした作品。冒頭の箏から五度音程を重ねて始まっていく様子は、弦楽器の五度チューニングから発想を得ている。常に一定で鼓動のように鳴り続けるリズムは曲を通して度々現れ、心臓のように体の中で打ち続ける。また、日本古来のペンタトニックスケールとジャズにおけるペンタトニックスケールの「五音音階」という共通点に着目し、構成音の異なる両者の民族的音階を融合させた。両楽器の絡みや、お互いの即興的な部分にも注目して聴いていただきたい。

箏とピアノのための二重奏第一番《スケルツォ》

奥田雅楽之一 作曲

本作品は2025年12月7日、銀座ヤマハホールで開催された「第三回 奥田雅楽之一演奏会」 にて初演された。西洋音楽を象徴するピアノと、日本の伝統楽器である箏という異なる音楽文化を持つ二つの楽器を対置し、その対話と衝突から新しい音楽的表現を探ることを目的として作曲された。作曲にあたってはバルトークの音楽語法を一つの手がかりとし、強いリズム性と素材の変容によって構成している。自由ロンド形式の中で、両楽器は対比と融合を繰り返しながら、それぞれの潜在的な表現力を引き出していく。

箏とピアノのための二重奏第二番《変奏曲》

奥田雅楽之一 作曲

本作品は箏とピアノのための二重奏曲シリーズ第二作として作曲され、2026年3月17日、カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」にて初演となる。第一番《スケルツォ》が自由な対話を主題としていたのに対し、本作では両楽器が歩調を揃え、音楽を一つの方向へと築き上げていく構造を目指した。ピアノによる簡潔な主題提示から始まり、続く六つの変奏で箏が加わり、旋律やリズムが次第に拡張されていく。同一の素材が時間の中で成長し、秩序を保ちながら大きな音楽空間へと発展していく過程を描いた作品である。

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